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Channel: ☆舶来工具について色々と語ろう☆
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ヤンキー(笑。

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ヤンキーという表題を見て閲覧者諸氏は何を思い浮かべただろうか?横浜出身者で我々オヤジ世代は周りに米軍接収地が多くあったので意味通り米軍兵もしくはアメリカ人だが,殆どの人は不良(俺らの世代はツッパリと呼ぶ)を思い浮かべるはず。後者の場合はヤンキーというよりも語尾を上げて発音する「やんきぃ」といった感じだが。まぁ,工具と関係ない話はこれくらいにして本題に移ろうか。

先日紹介したBSIのワイヤーツイスターはどんなパテントで作られているのだろうか?と,喪中正月で時間を持てあましている?のでちょこっと調べてみた。
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切り替えがスライド式のツイスターを調べたらこれがヒット。しかし,これはBSIのパテントではない。内容は回転部のメカニズムだが,BSIの回転部の構造が解らないのでBSIのツイスターにこのパテントが使われているかどうかは不明である。


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そして,ついに見つけた?BSIが所有するワイヤーツイスターのパテント。これは回転部ではなくレバーのロック機構についてのパテントである。この画像は表紙ページだが,5ページ目に次のような画像があった。
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"Yankee" Twist Mechanism
んっ?ヤンキー???この回転切り替え部の正式名称は「ヤンキーツイストメカニズム」って言うのか???と思って調べだしたら,どうやら前回の記事で例として挙げたクラフツマンのオートマチックドライバーのようなドライバーをヤンキードライバーと言うみたいなのだ。しかも,どうもアメリカ人はこの身近な工具のルーツとも言えるこのタイプのドライバーにノスタルジーを感じる?ようで,マニアのページも結構ある。色々とネット検索で調べてみたらこんな経緯を知ることが出来た。

ヤンキードライバー(オートマチックドライバー)のルーツはというと,元々このタイプのドライバーはThe Forest City Screwdriver Co.という会社が1895年に特許を取得し生産しており,その特許がこれのようだ。

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ちなみに,このパテントの考案者であるZachary T. Furbish氏は,その後フォレストシティが1897年にNorth Brothers Manufacturing Coという会社に買収された時もそのまま移籍している。ノースブラザーズは工具をYANKEEというシリーズで発売しており,そのオートマチックドライバー(プッシュドライバーとも言うようだ)がヤンキードライバーという名前だったのである。そしてその後は,オートマチックドライバーの代名詞となって,他社製であってもヤンキードライバーと呼ばれるようになったという。(このあたりは昨今の「ギヤレンチ」の名称に通じるものがありますね。)だから,BSIのパテント図の説明でアメリカ人なら誰でも知っている「"ヤンキー"ツイストメカニズム」という名称を使ったのだろう。
イメージ 8
ノースブラザーズ当時のYANKEEロゴ
(画像はネットからの拾い画像)

で,その後のヤンキードライバーだが…。
イメージ 5
俺が所有しているヤンキードライバー
そういやウチにYANKEEって書いてある工具があったなぁ。と工具箱から引っ張り出してきた(笑。滅多に使わない物だが,上の画像で赤茶色の部分は反射している色で決して錆びているわけではない。ギヤ数は驚異の?8T(笑。表裏で+と-になっており,左右切り替え式である。製造元はSTANLEY。ヤンキーなんて一般的な名称なのでスタンレーも商標を持っていたのか?。と思って調べたら。1946年にNorth Brothers Manufacturing Coはスタンレーに吸収されていて,その時にYANKEEというブランドと諸々のパテントがスタンレーに移ったらしい。スタンレーはオートマチックドライバー(プッシュドライバー)を含むラチェット機構を持つドライバーはすべてYANKEEという名称で2000年代初頭まで発売していた。ちなみに,俺の所有している写真のものは1990年代の製品だ。で,さらにその後のヤンキードライバーはというと???

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なんと!ドイツのシュローダーに生産が移譲されていた!
これで,「MILBAR以外の選択」の記事と完全に繋がった!(笑。
(画像はネットからの拾い画像)

例としてドイツ製のクラフツマンやシュローダーのタップハンドルを挙げたのは決して的外れではなかったようだ。
wikiでは,「シュローダーはヤンキー」ブランドのドライバーとプッシュドリルを引き続き販売」と書いてあるが,シュローダーもハンマーで有名なPeddinghausの傘下になっているし,そのペディングハウスもフランスのMOBと合併しているし,今となっては生産が続いているのかどうか解らない。と思って検索してみたら,カタログページに項目はあるが画像は無かった。 未だ市場には在庫が残っているようで,schröder spiral ratchet screwdriverでググるとアマゾンなどで今でも販売されているようだ。あと,検索結果で,先日例として挙げたクラフツマンのドライバーはシュローダーのRS10044という製品のOEM品だった事が判った。

あっ,もしかしたらBSIのワイヤツイスターがAssembled in U.S.Aなのはヤンキーツイストメカニズムがドイツのシュローダー製だからかも???というより,最近のスライド式切り替えワイヤーツイスターのツイストメカニズムはどこのメーカーもすべてシュローダーが供給していたのかもしれない。その供給を受けてツイスターのプライヤー部分を自社で生産するから各社微妙に形が違うのだろう。結局,当時ワイヤーツイスターを生産していたのは全世界でロビンソンとミルバーともう1社(メーカー未確認)の3社しかなかったように思う。」というのは間違いで,「当時のワイヤーツイスターを生産していたのはロビンソンとミルバーと,ある1社が供給するツイストメカニズムを使い生産した各社」というのが正解のようだ。その,「ある1社」は今となっては調べようがないし1社だけだったのかどうかもわからないが,それを裏付ける?こんな画像がヒットした。
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BELZER 2855(ワイヤーツイスター)の刻印
(画像はeBayに出品されていた物から借用)
画像が粗いが「BELZER-VAN-EXTRA  GERMANY  2855」の文字が読めると思う。この時代は未だヤンキーツイストメカニズムがシュローダーの供給ではないだろうが,当時ベルツァーが自社でワイヤーツイスターを生産していた証拠にはなるだろう。ドイツの他メーカーOEMという可能性もあるかもしれないが。

蛇足。
上記で書いたBSIが持つパテントの説明文にちょっと気になる?こんな文章があった
See, for example, reversible products sold by Milbar Corporation (Stride Tool) and Stahlwille. The Stride product complies with the ASME Std. B107.18-2003, which is an industry standard.
グーグル先生の翻訳
例えば、Milbar Corporation(Stride Tool)およびStahlwilleによって販売されている可逆性製品を参照されたい。Stride製品は、ASME Std。B107.18-2003、業界標準である。
ということは,業界標準のミルバーはもちろん自社製だが,少なくともスタビレーは自社製ってことなのか…?。
あっ,もしかしたら当時のベルツァーのワイヤーツイスターってスタビレー製…!てことは無いだろうなぁ???

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