だいぶ前にダナハー異母兄弟と言う記事で,歯数36Tのラチェットレンチの部品互換性について書いたが,今回の記事は最新のラチェットレンチの部品互換性について書いてみましょう。
APEXツールグループのラチェットレンチ
上から,ギヤレンチ(60T),クラフツマン(60T),アームストロング(88T),MATCO(88T)の4本。下の3本はアメリカのEASCO製で,ギヤレンチだけが台湾のLEA WAY製である。ちなみに,MATCOがAPEXツールグループ傘下だったのはグループ設立後2年くらいの期間?で,理由は不明だが現在はMATCOだけがAPEXツールグループから脱退してダナハーの一員に戻っている。ちなみに,APEXツールグループとは,ダナハーツールグループとクーパーツールグループの合弁会社で,ダナハーとは別個の会社である。蛇足だが,クラフツマンの60Tモデルは現在すでにチャイナ製だ。
構造はお馴染みの?これ。
クラフツマンのプッシュリリースはUS PAT.7131353 というEASCOの持つパテントの構造である。リリース無しも当然?このパテントに基づいて作られている。88Tは60Tのマイナーチェンジ版なので部品に互換性があり,多くの人が88Tの部品を取り寄せて多ギヤ化しているようだ。この事はアメリカの工具関係掲示板などでは半ば常識?となっているようである。
で,これが今回取り寄せた88Tのリペアキット
マトコもアームストロングも同じEASCO製だし,昔のマトコだったらちゃんと磨きが掛けてあり,アームストロングと明らかに仕上げが違ったのだが,現在は仕上げが殆ど変わらないので,当然?安価なアームストロングをチョイス。価格は$14.50でした。おそらくマトコの場合は$20くらいするのでは?と思います。そして,今回は試しにこれを台湾製のギヤレンチに入れてみようという訳なのだ。
ギヤの比較
左が88T。右がギヤレンチの60Tである。仕上げこそ違うが,今回は大きさが見た目全く同じ寸法みたいだぞ!!
で,ギヤを装着してみた。
今回は何の支障もなく嵌りました。径も同じ,パウルの寸法,形状とも全く同じです,リペアキットには切り替えレバーやOリングなどの部品も入っていたが,切り替えレバーに関してはアームストロングとギヤレンチはまったく同じデザインなので,互換性があると判断してそのまま使用。Oリングもアメリカ製はオレンジ色で台湾製は黒色なのだが,これもまた同寸法なのでこれもまた流用です。問題は蓋が閉まるかですが…!36Tの時は閉まらなかったからなぁ。
問題なく閉まりました(笑。
クリップもしっかりと嵌り,カリカリと回してみても何の支障もありません。切り替えもちゃんと出来ます。しかし,左右切り替え時にちょっとだけ引っかかることがあり,ギヤが馴染めばこの症状は無くなるでしょう。最初から切り替えレバーなどを全交換すればこの支障は出なかったかもしれません。たった$14.50で安物のギヤレンチがマトコと同じになったのです(笑。持っている自分が言うのもナンですが,ホントに高い金出してMATCOを買うヤツの気が知れねぇなぁ。まぁ,アメリカの工具関係掲示板では「クラフツマンとMATCOでは何が違うんだ?中身同じじゃないか。」みたいな話が議論されていますからね。俺も最近のMATCOにはまったく魅力が感じられない。スナップオン以上に最近は台湾製も増えているしねぇ。
今回の結論!アメリカ製88Tと台湾製60Tは互換性がある!
しかし,ギヤレンチから88Tが発売される事はまず無いだろう。以前からギヤレンチには84Tのモデルがあるし,何よりも現在一歩先を行く?120T(60T*2パウル)のモデルが主流だからである。
12月6日追記
ネットでこんな画像を拾いました。過去にスナップオンが出した比較広告のようです。
これは36Tのラチェットのことを言っているわけですが,$71.30のマトコと$15.99のクラフツマンや$24.96のコバルトと中身に違いがありますか?と問いかけて,マトコの代金出すならスナップオン買えよと遠回しに言っている訳です。違いは価格だけ…ってか(笑。